Photographer

大滝くによし

 21世紀になり写真のメカニズムもモノクロからカラー、そしてアナログからデジタルへと凄まじい勢いで変遷しています。
 私達写真館もその波の中で「写真撮影の専門店」として、人の一生の節々に関わり、その時々の時間と空間の喜びを 写真として残す、というじつに楽しく面白い仕事に携わらせて頂いています。
 当店では写真で表現するという、ソフトに係わる事でしたらどのような御要望にもお答えしますので、御一報下さい。

全国婚礼写真コンテスト特選
プロコニカコンテスト金賞
コダックコンテスト特選
新日本写真連盟講師

ネガフィルムのレタッチについて

一大滝国義氏に聞く-

 カラーネガのレタッチは、ポートレート写真を作成する上において重要な意味を持ちます。レタッチによって、作品の出来上がりを左右するといってもいいでしょう。
 そこで、ご自身で、修正教室を開かれている大滝国義氏に、レタッチの方法、考え方についてお話をうかがいました。大滝氏のアドバイスは、皆様が仕事を進めていくうえで、参考になることと思います。

なぜ、レタッチをするのですか。

 レタッチをする理由には、2つあると思います。
 1つには、人工的に作ったライティングの不備な点を補うということがあります。 
 もう1つは、人間の顔がシンメトリーではないということです。例えば、口が片方上っているとか、目の形が左右で違っているとか、そういうことを補うわけです。
 レタッチを日本語でいうと修整ですよね。つまり、あるものをちょっと直す。修整するだけなんですよね。ですから、綺麗にするということではないのです。
 人間は、自分の顔を毎日、何度も何度も鏡を見ていることによって、一種の記憶が、自分の顔に対して、できあがってしまうわけです。そうしますと、その自分の顔に対する記憶に戻って、写真化された自己の顔に対してよく映ったとか、よく映らなかったと考えるわけです。
 そして人間というのは、自分の顔のことを、実際よりもよく見ているものなのですね。だから、その辺まで近づけてあげるというのが、レタッチです。

 なぜレタッチをするかというと、単純に言えば、少しでも本人よりも良く見せてあげようということですよね。
 普通、人と話す時というのは、ホクロを見ないですよね。 相手の目を見ていますよね。ところが写真にしますと、ホクロに目がいってしまうのですね。写真というのは止っていますから、あるものがすべて目に入ってしまうのです。そういうものを、ちょっとボカシていく、ということでしょうか。

ホクロを取るということではなく、目立たなくさせるということですか。

 取ることもあります。大きなものは取るわけにはいかないけれど、小さなものに関しては、取ってしまうこともあります。それは、レタッチをする人の考え方ですよね。
 また、お客様のなかには取ってくれという方もいますよね。 そう言う場合は取りますけど。そういうことに関しては、やらなくてすむなら、それにこしたことはないわけです。

レタッチによってどの程度のことが可能ですか。

 シミやソバカスはかんたんに消せますよね。シワは完全になくせますし、ひげをなくすこともできます。極端に言えば、その人の年令を消すことも可能です。
 昔の写真というのは、フィルム特性の問題で赤を感じずらかったんですよね。そこをエンピツで起していって、人間の肌の感じを出すという修正をしていたんですよね。ところが、現在はカラーの時代になって、フィルムそのものも小さくなっているわけですよね。
 それを拡大しているわけです。例えば、ブローニーサイズの全身を8×10インチに伸ばすわけですから、ガリガリやると修整のタッチが出ちゃうわけです。ですから、昔のやり方とは、多少、違いますよね。

修整ニスについて。

 ニスは原則的には、顔の中、つまり、傾整する部分にだけ塗ればいいのです。それ以上に塗りますと、ゴミが付着してしまうので、できるならば顔の中にだけ塗るようにした方がよいでしょう。
 まず、ニスを顔の上に垂らして、ガーゼで全面に軽く覆うようにしていきます。そして次に、いらない分を拭きとっていきます。この時、拭きすぎると付きが悪いし、適量であれば上手く付くわけです。
 量は、顔全面に同じような濃度で広がる程度の量でよいと思います。つまり、(フィルム上の)顔の大きさが大きければ、多くいりますし、小さければ少なくてすむわけです。ですから、基準というものはないのですね。その人によって違いますし、修整するネガによっても違います。修整する時の手のタッチによって量、厚さも違ってくるわけです。だから、人が塗ったものはやりにくいですよね。
 結局、自分で経験していくしかないと思います。何度もやっていくうちに、身体というか、手が覚えていきます。

 ガーゼは新しいものではなく、洗いこんであるものがいいですね。

 ニスも使い込んでいくと、成分が飛んで濃くなってしまいます。そうなったら、新しいものを使うか、古いものに新しいものを足して、薄めていけばよいでしょう。また、濃度の濃いニスが必要な時もありますから、使い込んだものもとっておくとよいでしょう。

エンピツについて。

 現在、私が使っているのは、普通のエンピツ(1mm)、0.5mmのシャープペンシルと2種類を使っています。
 これを(フィルム上の)顔の大きさによって使い分けています。大きい顔の場合は、太いエンピツでやりますし、小さい場合はシャープを使います。ブローニー(6×6)の証明写真で大きく伸ばさないようなものは、だいたい普通のエンピツですね。全身写っているものは顔が小さいので、0.5mmですね。

エンピツの硬さは。

 硬さは、まず、ネガの濃度によって違います。例えば、乗っているようなネガは、ある程度、柔らかいエンピツを使わないとダメです。ですから、エンピツは4~5種類用意して おいたほうがよいと思います。HBを基準にして、F、H、B、2Bといった幅があればよいと思います。
 0.5mmのシャープペンシルの芯は、普通のエンピツの硬さと多少違います。シャープのBが、普通のエンピツのHBと同じくらいの感じですね。

芯の銘柄については。

 僕の場合は、三菱のハイユニがもっともよいですね。
 エンピツにしてもシャープにしても、市販しているものを、すべて試してみたのですが、ハイユニがいちばんやりやすいですね。理由は、粒子がいちばん細かいということと、芯の中に異物が入っていない(入っているものもある)ということです。

エンピツの持ち方について。(図1参照)

 普通にエンピツを持つのと同じように持ちますが、指先に力は入れず、中指に乗せて、親指と人差し指は軽くエンピツに添えるといった感じです。やっている時に、後ろからエンピツを引くとかんたんに抜ける程度に持ちます。
 かんたんに言えば、握りしめるのではなく、中指にそっと乗せているという感じです。

エンピツは人差し指に乗せ、親指と中指は軽く乗せるといった感じ。 後ろからエンピツを引くとかんたんに抜ける程度の力加減。

修整面とエンピツの角度は、また芯の長さは。(図2、3参照)

エンピツ、0.5mmのシャープともに4cmぐらいに芯を伸ばす。

 できれば、角度はあまり付けず、寝かせ気味のほうがよいです。芯を寝かせれば、それだけ芯の横を使いますから、タッチが柔らかくなるわけです。そうするためには、エンピツの芯を長くするということですね。短くすればするほど、角度はつくわけですから。
 私の場合、芯の長さは0.5mmの場合で3~3.5cm、エンピツの場合で、4cmくらいに伸ばして、使っています。(図3)

芯はどのように削りますか。(図4参照)

 芯の先は普通の針よりもずっと細くしてあります。削るのは紙ヤスリを使っています。私の場合、紙ヤスリを箱のような形にして、ヤスリ面を内側に持ってきます。その中に芯を差し込み、親指と人差し指で外側から軽く芯を挟み、片方の手で優しく芯を上下しますと、芯は針よりも細く削ることができます。

(図4参照)

 また、レタッチを始めたならば、エンピツは研ぎません。 なぜならば、レタッチをしながら、芯を少しずつ回していくんです。そうすると、芯は自然と削れていきます。
 やっている時というのは、芯を見ていないのですが、指先で感じているんですよね。芯がどうなっているか。だから、その回し具合というのは完全にカンです。

紙ヤスリを、ヤスリ面を内側にして薄い箱状にしたもので削ります。
ヤスリの外側を軽く握り、芯を優しく回しながら削っていく。

力加減はいかがですか。

 修整面の部分によって、強くしたり弱くしたりしています。 深い所と浅い所・では違うわけです。
 男の人は、多少、強く力を入れて(あるいは硬いエンピツで)タッチを出しますし、女の人は弱く(柔らかいエンピツで)ソフトな感じにします。しかし、最初のうちはあまり気にしなくてもよいと思いますね。
 ニスの塗り具合と同様に、エンピツの力の入れ具合も経験していくうちに身に付けていくしかないと思います。頭でいくら考えてもムリですよね。

レタッチに要する時間というのはどの位ですか。

 修整する個所、大きさによって違うのでいちがいには言えませんし、ネガ濃度によっても、ライティングによっても違います。濃度が乗っていれば時間がかかるし、浅いのは速い。 極端なライティングだと時間がかかり、平均的だと速いですよね。
 ただ、言っておきたいのは、ライティングは修整のためにあるのではないということです。

レタッチをする上で、注意すべき点は。

 繰り返しになるかもしれませんが、その顔を見てどうしたらよいのかを考えることであり、修整というのは、ただ綺麗にするのではないということです。
 ちょっと良くしてあげるということです。悪い部分、ライティングであるとか、顔で言えばニキビ、シミ、歪みなどを補正してあげるということだと思いますね。  それと数多くやることです。経験していけば、必ず上手くなっていきます。
 最初は、まず修整しないで焼いて、その上がりを見ながら、良くないところだけにエンピツを入れていくんですね。そしてそれをまた焼いてみる。修整したことによって、どの位良くなったかを確かめてみるわけです。これをやると、かなり上達が速くなると思います。

カラーとモノクロでは違いがありますか。

 やり方は変わらないです。ただ、カラーのほうが細いエンピツになります。また、カラーのほうがエンピツの量が少なくてすみます。なぜなら、カラーは色で見せるからです。色で人間の目をごまかすことができるというか、綺麗に見えるため、それほど手を入れる必要はないということです。

修整台について。(図5参照)

修整台は市販のものもあるが、構造的にはけっして難しいものではないので自分で作ることもできる。

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